前回(本年1月)、民泊について(追記)」において、「今後も状況を注視していく必要がありそうです。」と書きましたが、先般、国に設置されている「「民泊サービス」のあり方に関する検討会」において、最終報告案が示された模様です。

その内容では残念ながら、以前の私のブログ「民泊について」における見解とは、違った方向性が示されたようです。

根本的に私の考えと方向性が違うのは、民泊が「『住宅』である」という前提です。私は、民泊はそもそも旅館業法の許可が必要な業(事業)であると考えており、住宅をその事業のために使うならば、「用途変更」が生じる、と思っておりました。

しかし、どうやら上記検討会の結果では、民泊を行っても「用途変更」が生じているとは考えず、住宅を一時的に、或は部分的に「活用」しているだけとの見解のようです。(驚いたことに、ホテル等の立地が規制されている第一種低層住居専用地域などでも民泊が実施可能とすべき、と報告書案には書かれています。)

この考え方は私には奇異に感じて仕方がありません。では、他の事業を、住宅を活用して行う場合はどうなるのでしょうか?建築基準法では、住宅の一部を事務所や店舗、学習塾やアトリエ等にする場合は、明確に用途を分けています(建築基準法施行令第130条の3)。例えばこれらの用途と民泊を差別化する議論は、どこまでされたのでしょうか?(このブログを書いている時点で検討会第7回~第13回までの議事録が公表されていないようです。)

それ以上に問題なのは、以前の私がブログで書いた、標準管理規約12条の用途要件(「専ら住宅として使用する」)という規定では、民泊に対して全く歯止めが利かなくなってしまうことです。検討会の見解では民泊は「住宅」であるので、この規定に抵触しないからです。

報告書案では、申し訳のように「法令・契約・管理規約違反の不存在の確認を行う」となっていますが、抵触しないなら違反が存在する訳がありません。

また、国交省は「管理規約の解釈は当事者が決めるもの」と言っているようですが、国の標準管理規約での「住宅」は何なのでしょうか?昨年12月22日に石井国土交通大臣が、管理規約に上記規定があるマンションでは民泊は実施できないとの見解を示したはずですが、大臣発言も覆すことになるでしょうか?

現時点は検討会の報告書案が示された段階ですが、今後、検討会の示した方向性にしたがって、制度設計が進むことになると思われます。(標準管理規約の改正の時の「コミュニティ条項」のように検討会の結論どおりになっていくでしょう)

よって、前回、私は上記標準管理規約12条の規定があれば大丈夫、といった趣旨でブログを書きましたが、今回は全く逆で、民泊の制度が施行される前に、民泊に対する管理組合としての方針を定め、必要な管理規約の改正をしておきましょう、と言わざるを得ません。

標準管理規約の改正といい、民泊といい、また国の検討会に、マンションの区分所有者の方々が振り回されるようなことになりそうです。もっと現場をよく把握した上での議論をしてほしいと思う今日この頃です。

Author Profile

木村誠司
木村誠司
28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士