先日、武蔵小杉のタワーマンション群を間近で見る機会がありました。車で横浜から武蔵小杉に向かう途中、日吉の坂を下る所から見た景観は壮観です。

それでふと、数ヶ月前にDVDで見た映画「タワーリング・インフェルノ」を思い出しました。(タワーマンションを批判する意図は全くありませんので誤解なきよう・・・)

ご存知の方は懐かしいとお思いになるかもしれませんが、「タワーリング・インフェルノ」は1974年のアメリカ映画で、主演はポール・ニューマン、スティーブ・マックイーン。約40年前の映画ですが、建築士であるニューマンが設計した超高層ビルが、施工不良のため大火災を起こし、消防士のマックイーンが消火活動に奮闘する、というパニック映画の金字塔です。

40年前とは驚きですが、利益のため勝手に設計変更(これが原因で出火)をした下請け電気設備技術者など、いつの時代も、どこでも変わらない構造的な業界体質が描かれているように思えます。

変わらないといえば、タワービルの防火対策の重要性です。映画のビルではスプリンクラーが作動不良を起こしましたが、現代のタワービルではあってはならないことです。特殊な居住空間を持つタワーマンションでは、当然ながら通常の中高層マンションより高い防火対策(消防用設備等の点検整備、消防訓練の実施、住民意識の向上など)が求められると言えるでしょう。

この映画の最後に、マックイーンがニューマンに「安全な建物の建て方を聞きに来い。設計屋」と言うシーンがあります。現代のタワーマンションは、マックイーンが指南しようとした「安全な建物」であることを願って・・・。

投稿者プロフィール

木村誠司
木村誠司
28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士