マンション管理適正化法(マンションの管理の適正化の推進に関する法律)が改正され、新しく「マンション管理適正化推進計画制度」が創設されました。(2020年6月24日公布。2年以内に施行)この新制度は、今後の高経年マンションの急増を背景に、維持管理の適正化やマンション再生に向けた取組みの強化を目的とした制度とされています。(国土交通省資料)

制度の仕組みとしては、国(国土交通省)が基本方針(マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針)を策定し、地方公共団体が基本方針に基づく「マンション管理適正化推進計画」を策定する、その上で、その自治体の区域に立地するマンションの各管理組合が各々のマンションの管理計画を作成し自治体の認定を受ける、ということになっています。

仕組み自体はこれまでの住宅・建築行政で採用されてきたものと変わるものではありませんが、マンション管理組合が管理計画の認定を受けること自体が任意である以上、その認定を取得することにどれだけのメリット(インセンティブ:動機付け)を与えられるかが、制度活用の鍵だと思われます。

この制度創設によって、我々マンション管理士にも、管理計画作成に取り組む管理組合を支援する機会が生じ、活躍の場が広がるのは間違いないと考えますが、計画を作成し認定を受ける管理組合にとっては相応の費用負担が生じることにもなるため、余程のメリットがないと認定を受ける管理組合がなく、制度自体が空振りに終わる懸念があります。

施行まで2年弱とのことで、国や自治体でもこの制度の円滑な実施に向け、具体の検討作業に入っているとの情報があります。制度が軌道に乗るのはもう少し先のことではありますが、多くのマンションにおいて管理計画が作成され管理の適正化が図られるとともに、その取組みに見合うメリットが受けられる制度となることを期待して、今後の推移を見守りたいと思います。

 

投稿者プロフィール

木村誠司
木村誠司
28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士