このところ東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の(前)会長の女性蔑視発言が話題となっています。五輪・パラリンピックの理念について深く理解している訳でもありませんし、非常にデリケートなテーマである女性差別問題の是非についてここでコメントするつもりはありませんが、本ブログで取り上げようと思ったのは、マンション管理に関する、いわゆるコンサルタント(私自身も含む)などマンション管理に詳しいとされている人の発言などにおいても、同様の過ちを犯していないだろうか、と気になったためです。

もちろん、「同様の過ち」というのは女性蔑視のことではありません。ポイントは、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」というような、何かを一方的に決め付けてしまうレッテル貼りにおいて、普遍的な問題が含まれていると感じた、ということです。

どういうことかというと、たまにマンション関係の書物やマンション管理の専門とされている人の発言などに、「管理会社はリベートにまみれてブラックである」、「大規模修繕工事の設計監理方式は、設計監理会社が施工会社からバックマージンを取る温床である」や、「利益相反取引は絶対に行ってはならない」といった決め付けを行った記述や発言に遭遇することがあるのです。

これらは私には、テレビで話題の某会長と同レベルの不適切な発言(記述)に聞こえるのです。確かにモラルのない管理会社や設計監理事務所、場合によっては管理組合の役員の人がいることは、私も疑いはしませんが、世の中にはまじめな管理会社や設計監理会社がいることも信じています。また、大規模修繕工事の発注方式は、設計監理方式で問題ないと考えています。利益相反取引についても、マンション標準管理規約にあるように、重要な事実を理事会において開示し承認を受け、利益相反が生じる役員は決議に加わらない、管理組合の代表とならないとの対応をすれば、全く問題ないと考えています。

つまり、物事の一面、又は一部だけを見て、そのもの(こと)の評価を決め付け、レッテルを貼っていないか、ということが言いたいのです。(こう書くと「このマンション管理士は甘い」というレッテルを貼られそうですが・・・)要は全体を見る目と判断におけるバランス感覚の問題ではないかと思うのです。

自分もコンサルタントとして、バランス感覚を欠いた決め付けはできるだけ慎み、発言には注意しなければいけないなぁ・・・、と改めて感じた今日この頃です。

投稿者プロフィール

木村誠司
木村誠司
28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士