「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の改正が今国会で可決成立し、2021年(令和3年)5月28日に公布されました。

聞きなれない法律かもしれませんが、私としては思い出のある法律で、この法律が制定された当初(2008年(平成20年))に役所で住宅政策に従事しており、新しく法律に位置付けられた認定制度に対応するための体制整備などに、仲間とともに苦労した記憶があります。(当初施行は2009年(平成21 年6月))

どういう法律なのか、ですが、簡単に言ってしまうと、名前のとおり、長期にわたり優良である住宅を普及させましょう、ということです。(当時は「200年住宅」などという言葉も議論されました。)その手法は、優良であることを担保する一定の基準をクリアした住宅の建築計画を、行政の認定(長期優良住宅の認定)によってお墨付きを与え、その優良な状態を建築後の維持管理においても長く保持してください、というものです。

また、それだけでは費用が掛かるのみですので、認定を取得した場合には、工事費の補助金、住宅ローンの金利引き下げ、所得税・固定資産税の減額特例、地震保険料の割引といったメリットが受けられる、という仕組みとなっています。(それぞれ申請等の手続きは必要ですが)

制度創設当初は新築住宅のみに適用される制度でしたが、2016年(平成28年)4月に、既存住宅の増築・改築も対象とした認定制度がスタートしています。

なぜ今回ブログでこの法律の改正を取り上げたかというと、今回の改正がマンション管理組合に関わる改正だからです。

これまでの長期優良住宅の認定は、マンションのような共同住宅は、個々の住戸(専有部分)ごとに申請する必要があり、また、既存マンションでは申請ができませんでした。よって、新築時に分譲会社が住戸ごとに申請していた訳ですが、今改正では、管理組合が既存マンションについて1棟ごとに認定申請できるようになったのです。

また、この認定においては、認定後のマンションの維持管理に関する計画を作成する必要がありますが、その計画は、昨年改正されたマンション管理適正化法の「管理計画」が認定されていればOKとなるようです。

制度が複雑で既存マンションの状況にもよるので、管理組合の皆様がこの制度を理解した上で認定までたどり着くのは困難かもしれませんが、区分所有者の皆様にはそれなりのメリットがあると思われるので、可能性があればチャレンジしてみてもよいのではないでしょうか。

※施行は、原則として「公布の日から9ヶ月を超えない範囲」となっているため、来年2月頃から改正後の制度がスタートすると思われます。

※制度詳細は、今後、認定基準等が明らかになった段階で「マンション管理情報」に掲載しようと考えています。

投稿者プロフィール

木村誠司
木村誠司
28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士