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No.4 マンション建替えの意思決定手続

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 今回はマンションを建替える際の、管理組合の意思決定手続(総会決議の手続)について、区分所有法※1ではどのように定められているのかをご紹介します。基本的なケースは単棟型マンションの建替えです。その意思決定手続のポイントを押さえた上で、その応用として、少し手続きが複雑となる団地における建替えの意思決定手続について、概要をお示しします。
  ※1 区分所有法:建物の区分所有等に関する法律

1 単棟型マンション建替えの意思決定

 はじめに、単棟型マンションの建替えにおける管理組合の意思決定ですが、条文を要約すると、下記のようになっています。

 ○「建替え決議」
 【決議要件】(法62条1項)
     区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、・・・新たに
    建物を建築する旨の決議「建替え決議」をすることができる。
 【決議事項】法62条2項)
    ① 「再建建物」の設計の概要
    ② 建物の取り壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
    ③ 費用の分担に関する事項
    ④ 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項
 【 手続 】(法62条4~8項)
   ・総会の会日より少なくとも2ヶ月前に招集通知を発出する。
    (この期間は規約で延長可能だが、短縮は不可)
   ・通知には、「議案の要領」(議決内容の要約)に加え、次の事項も通知する。
    ① 建替を必要とする理由
    ② 建替をしない場合における建物の効用の維持又は回復に要する費用と内訳
    ③ 修繕に関する計画が定められているときは、その計画の内容
    ④ 修繕積立金の額
   ・総会開催の少なくとも1ヶ月前までに説明会を開催する。
    (招集手続は、原則通常総会と同じ。通知から総会までの期間(1週間)の短縮
     は不可)
   ・決議した総会の議事録には各区分所有者の賛否も記載、記録する。

2 団地における建替えの意思決定

 団地における管理組合の建替えの意思決定方法は、単棟型マンションの応用形となります。区分所有法では次の二つのパターンが規定されていますので、ここではそれらについて、概要を解説します。

 《団地における建替えの意思決定手法》
  (1) 一棟建替え・部分建替えの決議(建替え承認決議)
  (2) 一括建替え決議

(1) 一棟建替え・部分建替え(区分所有法69条)

団地内に存する建物の建替え(一棟建替え・部分建替え)には、次の二つの手続きが必要です。

① 特定建物※2の区分所有者による 「建替え決議」
        +
② 土地共有者等による 「建替え承認決議」

  ※2 建替えする建物のことを 「特定建物」 と言います。

 ①「建替え決議」

 【決議要件】特定建物の区分所有者及び議決権の各5分の4以上の特別多数決議

  • 上記の単棟型の建物の建替え決議と同じ
  • 建替え決議でなく、所有者の全員同意でも可
  • 特定建物が、専有部分のある建物以外の場合 → その所有者の同意が必要
 ②「建替え承認決議」

 【決議要件】土地の持分割合による議決権の4分の3以上の特別多数決議※3

  ※3 建替え承認決議では、区分所有者の人数は要件とされません。

  • 決議は、土地の共有者・準共有者である団地内建物の団地建物所有者で構成される団体又は団地管理組合法人の集会において、土地の持分の割合による議決権の4分の3以上の多数による承認があれば成立します。(法69条1項)
  • 「建替え承認決議」を行う場合の総会における議決権割合は、特定建物の所在する土地の持分割合となります。(法69条2項)
  • 法律上は「建替え決議」と「建替え承認決議」のどちらを先にするかは規定されていません。ただし、建替え決議がされているとき、その決議に反対した当該特定建物の区分所有者がいても、その者は建替え承認決議においては、建替え承認に賛成したものとみなされます。(法第69条3項)
 【要件:①団地内建物の全部又は一部が、専有部分のある建物であること(特定建物が専有部分
       のある建物であるかどうかは問いません。)
      ②団地内建物の所在する土地が、団地建物所有者の共有・準共有に属していること
 【手続】:(法69条4項、5項)
  ・総会の会日より少なくとも2ヶ月前に招集通知を発出
   (この期間は規約で延長可能ですが、短縮は不可)
  ・ただし、団地建物所有者全員の同意があれば、招集手続きを経ずに集会開催が可能。
  ・招集通知には「議案の要領」(議決内容の要約)に加え、再建建物の「設計の概要」も示す
   必要あり。
  ・団地内の一部の建物(特定建物)の建替えにより、他の建物に特別の影響を及ぼす場合は、
    ①「他の建物」が、専有部分を有する場合は、その建物の議決権の4分の3以上を有する
     区分所有者の賛成が必要
    ② 「他の建物」が、単独所有の建物である場合、その建物の所有者の賛成が必要
 ③ 複数棟の一括の建替えについて
  • 団地内の複数の建物を建て替える場合は、それらの特定建物の団地建物所有者全員の合意によって一括して建替え承認決議に付することができます。(法69条6項)
  • 建替えようとする特定建物が複数の区分所有建物である場合、それらの建替え決議の総会時にそれらを一括して建替え承認決議に付する旨の決議をしたときは、一括して建替え承認決議をすることの合意があったものとみなされます。(法69条7項)
(2) 一括建替え決議(区分所有法70条)

「一括建替え決議」とは、団地内の複数の建物について、全部を一括して建て替える決議です。取り壊される建物の数と再建建物の数は一致する必要はありません。

 【決議要件】:(法70条1項)

団地内建物の区分所有者及び議決権の各5分の4以上の特別多数決議
(=1棟の区分所有建物の建替え決議と同じ。)
          
各団地内建物ごとにそれぞれの区分所有者及び議決権の3分の2以上賛成

  ※4 建替え承認決議の決議要件とは異なります。なお、②は「決議」ではなく「賛成」です。

  • ①の「議決権の割合」は建物の所在する土地の共有持分割合となります。(規約に別段の定めを置くことが認められない、いわゆる「強行規定」です。)(法70条2項)

 【要件】一括建替え決議をするためには、次の3つの要件を満たす必要があります。
      (法70条1項)
    ① 団地内建物の全部が専有部分のある建物であること
    ② 団地内建物の敷地が団地内建物の区分所有者の共有又は準共有に属すること
     (ここでいう「敷地」には、規約敷地も含まれます。以下同じ)
    ③ 団地内建物について、団地管理規約が定められていること

  • ①の要件から、専有部分のある建物と、専有部分のある建物以外の建物が共に存在している場合は、一括建替え決議をすることはできません。
  • 団地内建物の管理を、棟別の管理組合で行うことになっている場合には、その規約を改正しなければ一括建替え決議をすることはできません。

 【決議事項】:(法70条3項)
     ① 「再建団地内敷地」の一体的な利用についての計画の概要
     ② 「再建団地内建物」(新たに建築する建物)の設計の概要
     ③ 団地内建物の取り壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額
     ④ 費用の分担に関する事項
     ⑤ 再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項

 【手続】 :建替え決議の手続きが準用されます。(法70条4項)

  注)ここでは主に建替に係る決議要件について記載しており、その後の手続き(売り渡し請求
    (63条関係)、建替え合意(64条関係))は省略しています。

参考資料
「最新 区分所有法の解説(6訂版)」渡辺 晋著 住宅新報社

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