少しタイミングを逃した感がありますが、国土交通省の「マンション標準管理規約」がこの2021年(令和3年)6月22日に改正されましたので、その概要についてご紹介します。

ご存じの方は多くなってきていると感じていますが、「マンション標準管理規約」(以下「標準管理規約」)は、国が、全国の管理組合が管理規約を制定、変更する際の参考として定め公表しているもので、これまで幾度かの改正を経てブラッシュアップしてきているものです。

内容の是非については専門家内でも議論のある条文はありますが、個人的には、各管理組合もこの内容に準拠した管理規約を定めることをお勧めしています。

さて、今回の改正ですが、国の説明では主に昨年のマンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正、並びに新型コロナウィルス感染症の感染拡大等の社会情勢の変化を踏まえたものとされています。

具体的改正項目は次のとおりです。

1.IT を活用した総会・理事会
2.マンション内における感染症の感染拡大のおそれが高い場合等の対応
3.置き配を認める際の留意事項
4.専有部分配管の工事を共用部分配管と一体的に行う際の修繕積立金からの工事費の拠出
5.管理計画認定及び要除却認定の申請
6.その他所要の改正
(1) 承認・提出・届出関係手続に係る電磁的方法の導入
(2) 近年の裁判例に基づく所要の改正
(3) 押印主義の見直し

個々の詳細説明はここでは避けますが、ご興味のある方は下記国土交通省のホームページをご参照ください。
https://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000202.html
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html

今回の改正は、コロナ禍における新たな対応として、「WEB会議システム」を用いた総会や理事会の運営方法の導入や感染拡大防止対応などの条文が追加・改正されています。(置き配まで新規にコメントが追加されたのは笑いました。)

また、昨年の法改正を踏まえた改正(管理計画認定及び要除却認定の申請)と、これまでもあった「電磁的方法」(堅苦しい言い方ですが)の対象の拡大、近年の裁判例に基づく改正では、専有部分配管工事の修繕積立金の充当、理事会役職の解任規定の新設など、そして話題の押印省略について、と、このところの社会の動きが反映された改正となっています。(押印省略は関係法令の改正が9月1日なのでご注意ください。)

改正前は、私も読みが浅く、これほどあれこれ掻き集めた改正がされると思っていませんでしたが、改正項目がそれなりに多岐に亘るため、これを機会に再度皆様の管理規約も見直された方がよいと思われます。
ご相談いただければお手伝いさせていただきますので、よろしくお願いいたします。(最後は営業・・・。)

投稿者プロフィール

木村誠司
木村誠司
28年間、地方公務員として、建築、都市計画、住宅、開発行政に従事。
自らが居住していたマンションで大規模修繕工事、管理委託契約見直しに尽力。
平成27年6月独立開業。マンション管理士・一級建築士